皆さんこんにちは。某鉄道会社で働くカリブです。
今日は鉄道こぼれ話の第二弾、踏切について思う所を伝えていきます!
関西の私鉄もJRも、多分システムはほとんど同じだと思います。なので、私は自分の会社の事を話しますが、踏切全般のことを語っているとお考え下さい。
踏切非常ボタンの役割
ほとんどの踏切に設置されているこの踏切非常ボタン。どんな場合なら押してもいいのでしょうか?
答えは「このままじゃ電車と人や車がぶつかっちゃう!」場合です。
車の脱輪や歩行者の立ち往生、老人や身体障害者が取り残された場面に居合わせたなら、迷わずボタンを押しましょう。踏切警報機の近くに設置されています。
では一体、このボタンを押したら具体的に何が起こるのか?簡単に説明致します。
非常ボタンを押すとまず、踏切から数百メートル手前にある、「特殊信号発光機」が点滅します。5つの赤色灯が時計回りに点滅するので、「クルクルパー」と呼ばれています(笑)
この他にも縦に細長い2型もあります。これは赤色のLEDライトが激しく点滅します。これらの発光機の役割はひとつ、「運転士に踏切の異常を知らせる」ことです。
この発光機の点滅を見た運転士は、直ちに非常ブレーキを使用して停止します。その後、徐行しながら当該の踏切手前までゆっくりと前進します。
ここで乗務員が踏切の状態を確認し、異常が解消していることが確認できれば運転を再開します。
ここで気をつけたいのが、非常ボタンを押しても「必ず列車が進入して来ない訳ではない」ことです。
ボタンを押した時点で列車が接近しすぎていれば踏切内に入って来ますし、万が一運転士が発光機を見落としてしまうと、そのままの速度で列車が通過します。
非常ボタンを押しても、踏切内に入らないこと!
カリブと皆さんとの約束ですよ!
駅の近くの踏切だと駅員が確認のためにやって来る事もありますが、その時に駅員や運転士に教えてほしいことがあります。それは…
- 「なぜ、非常ボタンを押したのか?」
- 「他人が押していたのを見たか?」
- 「非常ボタンを押された原因は解消したのか?」
もしも一部始終を見ていたら、「おじいちゃんが立ち往生していたけど、もう外に出ましたよ」とか、「車が閉じ込められてたけど、遮断棒を押して外に出ましたよ」と説明して頂ければ、スムーズに運転再開できます。
障害物検知装置の役割
次にご紹介する踏切付近の装置は、この「障害物検知装置」です。
これは踏切内に車などの障害物が閉じ込められた際に、非常ボタンと同様に「特殊信号発光機」を作動させる装置です。
この装置から出ている赤外線が遮られることによって、「踏切内に障害物がある!」と判断して特殊信号発光機が作動します。
両端に発光器と受光器があり、発光器から出た赤外線がその間に建てられた鏡の役割をする装置で反射を繰り返しながら、受光器まで繋がっています。
ここで気をつけたいのが、「小さな物には反応しない」ということです。
車ほどの大きさであれば赤外線を遮りますが、人間や自転車くらいだと、センサーの隙間に入ってしまった場合に反応しません。
だからもし、踏切内で人や自転車・ベビーカーや車イスなどが立ち往生していたら、踏切非常ボタンを押して下さい!
もちろん、車が立ち往生していたとしても非常ボタンを押してもらって大丈夫です。
それぞれの非常ボタンには表示灯があって、押された場合には点灯して「ここのボタンが押されていますよ〜」と分かるようになっています。
ちなみに、赤外線の発光器と受光器に落ち葉などが引っ掛かって誤作動する場合があり、そんな時には「踏切状態の確認のため」列車が遅れることがあります。
カリブが以前、確認のため現地に向かった時には誰かがイタズラで空き缶を詰めていました。くれぐれも皆さんはそんなイタズラはしないで下さいね!
更に最近では、障害物を立体的に検知する装置も導入されています。赤外線式よりも細かい障害物を、踏切道全体でカバーできるすごい奴です。
これは交通量の多い踏切から順次導入されていくそうです。
踏切遮断棒が折れたら?
- 踏切遮断棒が折れたらこうなる
遮断棒が降りているのに、自動車が無理やり通り抜けた場合などには遮断棒が折れてしまう場合があります。
そうなると、
- 付近の歩行者が折れている事に気づいて非常ボタンを押す
- 折れている事に気づいた乗務員が緊急停車する→付近の列車を止める無線信号を発信する
などにより、付近を走行する列車が一旦止まります。
その後、現地を走行する全列車が徐行運転となるため、ダイヤがどんどん遅れてしまいます。
以下の条件のどれかが満たされれば、徐行は解除されて通常速度で運転が再開されます。
- 駅員が踏切遮断棒を修理して、その場に留まる(いざという時には非常ボタンを押す)
- 専門の係員が完全に修理する
- 駅員による修理は不能だが、見張り員となって往来をロープ等で遮断できる場合
この辺のルールは、鉄道会社によって違うかもしれませんのでご了承下さい。
遅れの原因が「踏切の遮断棒が折れていたため」となっている場合は、現地で奮闘する係員が居ることに想いを馳せて下さい。
進化する遮断棒
昔は竹竿にテープを巻いていただけでしたが、最近の遮断棒は進化しています。
根本には可動域を設けた軸受けがあったり、先端にスリット(切れ目)を入れて復元性を持たせたり、様々な対策が施されています。
もしあなたが自動車を運転中に踏切内に取り残されたとしても、そのまま前進して下さい。ほとんどの場合は遮断棒を折らずに外へ出られます。
ただし、どうしても外へ出られないと判断した時には迷わず非常ボタンを押して下さい!
知られざる監視カメラ
実は、車が通れるサイズの踏切のほとんどには監視カメラが設置されています。
公にはされていませんが、万が一事故が発生した場合に現地の様子が分かるようにするためです。
人身事故や車と電車がぶつかった場合には、警察への情報提供がスムーズな運転再開に繋がります。
駅では見られませんが、遠隔で「司令所」と呼ばれる運転管理センターからモニターすることができます。
あなたの身近にある踏切も、辺りをよ〜く探してみたらカメラが付いているかもしれませんね!
まとめ
- 踏切には非常ボタンがある!
- 押しても線路内には入らないこと!
- 障害物検知装置もある!
- ヤバイと思ったら非常ボタン!
- 遮断棒は押せばOK!
- 監視カメラもあるよ!
踏切はあなたの命を守る大切な装置です。様々な装置が悲惨な踏切事故を防いでくれています。
目の前で遮断棒が降りてもイライラせずに落ちついて、非常ボタンを探してみて下さい。いざという時に誰かの命を救えるかもしれませんよ!
コメント
[…] 特殊信号発光機=当ブログの過去記事参照。 […]